マツド・サイエンス研究所

数式処理

最近、Debian Linux で数式処理プログラム Maxima を使って居る。これが、なかなか勝手が良い。

「数式処理プログラム」って、どういうことをするプログラムなのか、知らない人は意外と多いんじゃないだろうか?

普通、「コンピュータは計算が得意」とか思って居る人が多いし、Execel 等の表計算ソフトやフライトシミュレーションを、その代表例と思い描く人が多いだろう。

それは決して間違いじゃないのだけれど、これは計算は計算でも「数値演算」の話。有限要素解析や流体シミュレーションなども「数値演算」の類いだ。

「数式処理プログラム」は数値を扱うのではなく、抽象的な数式を扱うプログラムだ。

「抽象的な数式」と聞くと、それだけで嫌になる人も多いかもしれないが、簡単に言えば、中学校の数学の時にならった x とか y とかを使った方程式だ。

例えば「X = 3 + 4」から「X = 7」を計算するのが数値演算。

これに対し、「X + Y = 4」から「X = 4 - Y」を導くのが、数式処理だ。

こんな簡単な式だけじゃなく、「X + Y + Z = 5」と「X - Y - 2 Z = 7」が「同時に成立」から、「X = 6 + Z / 2」かつ「Y= - 1 - 3/2 Z」を導くこともできる。

当然、「X^2 - Y^2 = (X + Y)(X - Y)」もできるし、その他、三角関数やら微分や積分など、思いつく限りのことはできてしまう。間違っても、中学生や高校生の宿題に使わせてはいけないものだ。(練習にならないからね)

コンピュータで数式が扱えるプログラムは、Mathematica を始め、昔から数多くあった。だが、Mathematica は高価で職場で使うのならともかく、個人で簡単に買えるものではない。

フリーの数式処理プログラムも多くある。今まで、MuPad のフリー版を使ったり、yacas を使ったりして居た。特に yacas は、Zaurus に移植されて居るので携帯できて便利なのだが、使い勝手が今一良くなかった。

最近になって、Maxima を知り、インストールしてみた。数式の表示のために TeXmacs を一緒にインストールすると、これがなかなか使いやすい。Maxima も TeXmacs も Debian Linux の標準パッケージに用意されており、apt-get でインストールできたから、もっと早く使い始めれば良かった。

これで、複雑な数式が自由に操れるぞ!

と思ったのだが、一般的には「数式を扱うのは、苦痛であっても楽しい事ではない」らしい。

先日も、ロフトプラスワンで話した時に「数式を扱って居て、面白いですか?」と聞かれてしまった。

もちろん、数式を扱うのは面白い。

とは言え、正確に言えば、面白いのは、数式を扱うことそのものではなくて、数式を通じて見える新たな世界の方なのだが・・

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