マツド・サイエンス研究所

マツドサイエンティスト研究所 正式オープン

本日、マツドサイエンティスト研究所が正式にオープンした。思えば、ホームページを開いて9年、ブログを公開して2年の長い道程であった。これまで、バーチャルな存在でしかなかったマツドサイエンティスト研究所が本日をもってリアルな存在になるのだ。

マツド・サイエンティスト研究所の本部はマツド駅から歩いて数分のビルにある。一見すると雑居ビルの一画を借りて居るように見えるが、実は、ビル全体が一つの要塞に改造してある。

二階から三階は、受付や事務所およびミーティングルームだが、四階から上は各種の実験設備だ。

四階は生物学用研究/実験施設になっており、P4クラスになっているので、遺伝子操作などの実験がやりたい放題だ。

五階は物理学系の施設で、放射線実験施設、粒子加速器、レーザー高温炉等が用意されて居る。

六階は宇宙航空関連で、熱真空チャンバーや極超音速風洞、高々度燃焼実験設備など、ロケット/人工衛星/宇宙船などの一通りの試験が可能になっている。

最上階は天文学のエリアで、赤外線干渉計や12メートル径の光学望遠鏡を始め、世界屈指の観測設備がある。難点はマツド近辺の大気や光害は天文観測に向かないことだ。

地下は、万一のために100GW級の自家発電機が三基設置してある。

もちろん、マツド・サイエンティスト研究所のある雑居ビルの裏山は、宇宙船の発射基地になっている。事あれば、裏山は真っ二つに割れ、中から巨大なロケットが現れる。

一階はカモフラージュのために、コンビニエンスストアとファーストフードの店が入って居る。

マツド・サイエンティスト研究所に用のある方は、この二つの店の間にあるエレベーターで二階の受付に行ってほしい。なお、二台あるエレベーターの内、一台は無重力実験用の落下塔に改造してあるので、くれぐれも間違わないように気を付けてもらいたい。

マツド本部では、将来手狭になることが予想されるので、支所を作る予定だ。

マツド・サイエンティスト研究所の支所は、火星と木製の間にあるD型の小惑星を改造して作られる予定だ。太陽から約4億キロメートル離れた場所にあるD型小惑星には水が豊富にある。

ここを改造して、植物を育て、自給自足の研究所を作る。

また、地上では、製造困難だったり危険性の高い実験設備を建造する。例えば、直線距離100キロメートルを超るリニア型の粒子加速器や反物質エンジンの燃焼実験施設を設ける予定である。遺伝子操作等の生物実験なら、汚染・感染の心配が無いから、何でもできる。

候補となる小惑星は、文字通りゴマンとあるので、現在、不動産ならぬ浮遊産物件の調査中だ。

リアルになったからと言って、マツドサイエンティスト研究所の本質は変わらない。

常に不可能とも思える研究対象に挑戦することが、マツドサイエンティスト研究所の本分である。

例えば、「空間を曲げる」「光速を超る」「時間を逆行する」が、この「不可能とも思える研究対象」だ。

また、「本当は可能なんだけれども、なかなか実現・実現できないことに挑戦する」事もマツド・サイエンティスト研究所の研究対象になる。

例えば、「反物質を使った推進システムの燃焼実験」とか「恒星間航行」が、この分野になる。

これらの研究・実験は面白いのだが、実用的な価値は全く無い。

いや、本当に実現可能なら、実用的な価値も在るかもしれない。が、実現可能だという保証も何も無いから、「実用的な価値が在る可能性は極めて低い」と言うのが正しい言い方だろう。

同じく研究や実験が巧く行く可能性が低いので、「論文を書ける」可能性も極めて低い。

「反物質を使った推進システムの燃焼実験」に至っては、やればできることは分かって居るので、「論文を書く」価値も無ければ、実用化の可能性も低く、その上、ガンマ線が出てくるので迷惑この上ない。

これらの理由のため、マツド・サイエンティスト研究所の研究対象は、既存の研究所では扱うことができなかった。

例えば、大学の研究としては「論文が書けない」時点で駄目だし、民間企業の研究施設では「実用性が無い」事から、利益にならないことでネックになる。

国研(国立の研究機関のこと、最近は独立行政法人になって居る)に至っては、予算獲得の時点(研究・実験のスタートの数年から十数年前)で、「論文が書ける事」なおかつ「国民の生活に役立つこと≒実用性があること」が証明されて居ないと駄目なので、「論文も書けず、実用性の無い研究」などお話にならない。

だが、研究は本来「不可能か可能か判らない領域」に踏み込まなければならないことがある。実験は「理論だけでは不可能か可能か判らないから、実際に確かめる行為」だ。

逆に言えば、すでに「不可能か可能か」の答えのある研究は、価値が薄い。巧く行くことが判って居る「実験」などは「実験」ですらない。

残念ながら、前述したように民間企業の研究所や大学の研究室/研究機関、国研では、これらの研究が扱えなかった。そこで、設立されたのが「マツド・サイエンティスト研究所」だ。

「マツド・サイエンティスト研究所」は、利潤を追求する研究をしない。また、国などから補助も受けて居ない(補助金を申請する「理由書」すら書けない)。

そのため、研究員に対する給与は一切無い。研究を志す者は、生活費を別に稼がなければならない。

その代わり、研究員には義務もノルマも無い。

研究に対する実用性などの説明責任も無い。ただ、好きな研究に没頭すれば良いのだ。そして、その研究が面白ければ、それで良い。

研究員には、給与が支払われない代わりに、マツド・サイエンティスト研究所の豊富な研究設備を自由に使うことができる。

もちろん、同じくマッドなサイエンスを志すもの同志の口角泡を飛ばすような議論を行うことも可能だ。

マツド・サイエンティスト研究所の研究員となり、研究となる事は簡単だ。

誰でも「面白い研究課題」を持って来てくれれば、研究所に参加できる。

ただし、断っておくが、「トンでも系」や「オカルト系」の「擬似科学」を扱うつもりは無い。

あくまでも「常識では不可能と思われる事」に挑戦する事が目的だが、研究の方法論は、常に科学的な論理展開や実験実証を旨とする。

とは言え、常に革新的な研究は「非科学的」とレッテルを貼られる可能性が高い。かの19世紀最大の天才と言われるケルビン卿でさえ「空気より重い物は飛ぶはずが無い」と言ったり、ニューヨークタイムズが、近代ロケットの父と呼ばれるゴダードを危険人物と決めつけたり、そう言った例は後を絶たない。

「不可能への挑戦する研究」が、必ず成功するとは思って居ない。それどころか、「不可能への挑戦する」が成功し「不可能を可能にする」事は、十に一つか、百に一つかもしれない。

だが、十に一つ、百に一つであっても良いではないか。たった一つでも「不可能を可能にする」ことができれば、マツド・サイエンティスト研究所としては十分な成果なのかもしれない。

たった一つの「不可能を可能にする研究」を成すことも、「不可能と思われる研究」を全て放棄していては、絶対に成しえることは無い。

マツド・サイエンティスト研究所は、失敗を恐れずに「不可能に挑戦する場」を与える研究所だ。

「不可能だと思われる事」に「常に真面目に科学的な方法論」で挑戦する。

そう考え続けた結論が、マツド・サイエンティスト研究所だ。

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