先日、「超光速」について話し合った。
もちろん、超光速とは文字通り光の速度より速い速度のことだ。
無限に広がる宇宙に出ていくには、光速では遅すぎる。だから、光速よりも速い速度が欲しくなる。
だが、現実には、光速を超える速度を得る方法は全く見つかっていない。
先日の話し合いでは、いろもの物理学者こと前野昌弘さんとともに、真面目に光速を超える方法は無いかを話し合った。
一般的に、「相対性理論では、光速を超える事はできない」と信じられているようだが、これは正しく無い。
正確には「特殊相対性理論では、光速を超える事はできない」である。
相対性理論には、「特殊相対性理論」と「一般相対性理論」の二つがあり、乱暴な分類だが、局地的な範囲だけを扱うのが「特殊相対性理論」であり、広い範囲を扱うのが「一般相対性理論」だ。
狭い範囲に限れば、「特殊相対性理論」の範疇であり、光の速度を超える事は不可能だ。これは、ほぼ間違いない。
しかし、宇宙全体のような広い範囲だと「特殊相対性理論」の範疇を超えるので、この縛りはなくなる。例えば、宇宙の果てと呼ばれる領域は、光速よりも遥に速い速度で地球から遠ざかっている。
超光速が自然界で存在するなら、人間が作り出すことだって可能かもしれない。それを先日話し合った。
前野昌弘さんは、自分で「いろもの物理学者」と呼んでいるが、れっきとした大学の物理の先生だ。
内容が「超光速」とブッ飛んだ話題だが、正攻法の物理学として、SFではなく、現実の宇宙開発で応用できないかを話し合った。
長い時間の話で、内容は種々様々になったが、要約すると人工的に超光速を実現する障害として
(1) 因果律に反する。これは「特異点を生む」と同義。
(2) 特異点を発生しないで、超光速を実現するにはエキゾチック物質が必要。
の2点に尽きるらしい。(なお、エキゾチック物質とはマイナスの質量orエネルギーを持つ物質のこと)
それで、超光速を実現するには、
(A) 特異点が生まれない、もしくは生まれても害がないことを示す。
(B) 特異点とエキゾチック物質の関係を示す理論の反証をする。
(C) エキゾチック物質を見つける。
のいずれしか方法は無いらしい。(A) ~ (C) の どれもとてつもなく難しそうだ。
ただ、上記の (1) とか (2) とかは、ちゃんと理解しておかないと、それを超えるアイデアなど出るわけもない。この辺の理由を理解するのは大変で、前野さんに紹介された本やを列挙すると
【一般相対論における特異点や因果律について書かれた本で有名な定番】
① 「The Large Scale Structure of Space-Time」
S.W Hawking and G.F.R. Ellis 著 Cambridge University Press
② 「A Relativist's Toolkit: The Mathematics of Black-Hole Mechanics」
Eric Poisson 著 Cambridge University Press
【因果律を破るにはエネルギー条件を破らないと、という論文】
竭「 F. J. Tipler, Ann. Phys.(N.Y.) 108, 1 (1977)
竭」 S. W. Hawking, Phys. Rev. D 46, 603 (1992)
まずは、英語の本とか論文を探して来て、読んで理解するところから始めなきゃいけないんだねえ。
でも意外と論文とか古いんだなあ。この時代なら、現在ほどコンピュータとか進んでないから、静的な時空の歪みしか考慮してないんじゃ無いか(<=憶測)。最新の数値相対論とかでダイナミックな時空の変動を計算したら、どうなんだろう・・って、思ってしまう。
しかし、面白い。最初から、光速を超えることは難しいこととは判っていたけど、これほどとは。
でも、難しければ難しいほど燃えるんだよねえ。
さて、絶対不可能問題「超光速」に、どう挑戦するかな。
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