私は職場でもプライベートでもアイデアマンと呼ばれている。
で、そろそろ後進を育てなきゃならない年齢なので、なんとかアイデアマンを育てる方法はないかと考えている。
アイデアを実現するプロセスを考えると、イラストのように大きく4つに分かれる。
「アイデアを考える」「選ぶ」「アイデアの実現方法を見つける」「アピールする」だ。
で、この中で一番簡単なのが、「アイデアを考える」だ。
「それが一番難しいだろう」と言われそうだが、アイデアなんてものになるのは、1000個の内の3つくらいだ。アイデアの99.7%はダメ、つまりものになるアイデアは3σ外だと言うわけだ。
この「1000個の内の3つ」の確率は、私でも他の人でも同じ。私の場合、単に数多くアイデアを考えるようにしているだけだ。一日に1つアイデアを考えれば、1年間で1つくらいものになるアイデアになるわけ。1日に3つのアイデアなら、年間3つのものになるアイデア。4か月ごとに、ものになるアイデアを出すと十分「アイデアマン」と呼ばれる。
私に「衛星を作りたいのですが・・」と言ってくる人が居ると、「じゃあ、1日3個アイデアを考えて」と課題を出す。これなら3か月から4か月で一つくらいはものになるアイデアが出て来るわけ。
「そんなに沢山アイデアを考えられないよ」と言うかもしれない。実際やった人は「かなり厳しかった」と言う。最初は、クズのアイデアしか思いつかないと思っていても、どんどん出して行こう。どうせ99.7%はクズなのだ。そのうち良いのが思いつく。これも慣れてくれば苦にならない。
沢山のアイデアを出すには、たくさんの種が要る。「必要は発明の母」と言うけど正にその通りで、たくさんの「必要」とか「困った」とか「やりたい」事を集める。自分一人では数に限りがあるので、色々な人からそう言う種を集めよう。
さて、1000個から3つのアイデアを「選ぶ」。
選んだアイデアの「実現方法を見つける」のが、次の段階。
これは、「アイデアは面白いけど、そんなのできるわけないよ(不可能だよ)」から「それならできるよ(可能だ)」と言う方法を見つけること。これができると「不可能を可能にする男」とか「魔法使い」と呼ばれる。
「実現方法を見つける」のは難しくて、とても、このブログに書き切れる量じゃない。
しかし、「実現方法を見つける」には、色々とパターンがあって、やり方とかコツとかを一冊の本くらいにまとめることができるような気がしてきた。
「実現性検討の手法」とか「不可能を可能に変える!」とか「魔法使いになる方法」とか言う題名で本でも書いたら売れるかな??
最後は「アピール」。プレゼンテーションとかデモンストレーションとかだ。
私もそれなりにプレゼンテーションのスキルがあるし、これらが重要なことも判っている。
が、ここで、私がこれらを説明する必要もないだろう。世の中にはプレゼンテーションとかデモンストレーションのスキルアップのための書籍とか研修とかがあふれているからだ。
最近は、逆に、プレゼンテーションは上手いのに、肝心の中身のない研究者や技術者、学生が多くて辟易しているくらいだ。ちゃんと詰めてから発表に来いと言いたい。
さて、アイデアを実現する4つのプロセスだが、
・「アイデアを考える」は、沢山考えるだけ。
・「アイデアの実現方法を見つける」は、それなり難しいけど、本書いて伝承できそう
・「アピールする」は、プレゼンテーションのスキルアップの書籍とか研修に任す
と、なんとか、後進を育てる方法はありそうだ。
で、問題は「選ぶ」
「どう言う基準で選ぶのか」「論理的な理由は?」と聞かれるが、実は基準や論理は後付け。私の場合、まず、直感的に「良いかダメか」を判断し、その後で論理付けしている。
私に自分のアイデアを話した人などは判ったらかもしれないが、
即座に「却下!」と言って、その後「これは何々だから、駄目」と論理付けている。
この「却下!」と言った時は、直感で判断しているだけで論理はない。
論理は、次に喋る間に考えている。
1日3つのアイデア考える課題を受けた人も、毎日メールで私に送ってきては、私から「これはダメ、なぜなら・・・」と批判を受けているうちに、だんだんどんなアイデアが良いのか判ってきたようだ。
それなら、アイデアの選んだ後に付けた論理をパターン化すれば良いじゃないかと思うかも知れないが、どうも統一的な論理パターンが見つからない。それどころか、論理的でない選択も多々ある。
例えば「自転車」とか「バイク」を考えてみよう。
「自転車」とか「バイク」を見たことも聞いたことも無い人に、どうやって、その良さを論理的に説明できる?
幾ら言葉を尽くしても、結局は「一回、自転車(バイク)に乗ってみろよ。そうしたら、爽快で楽しいことが判るよ」の方が良いって事になるだろう?
「爽快」とか「楽しい」とは感情的なもので全く論理的とは言い難い。しかし、同じようにアイデアの良しあしの選択の中にも、こう言った非論理的な部分が残ってしまう。
非論理的な選択をするためには、センスを磨くしかないのだが、その方法が難しい。
既に書いたように、1日3つのアイデア考える課題を受けた人は、毎日メールを送ってきて、それに私が批判をすることで、ある程度のセンスを磨くことができた。つまり、双方向な情報の伝達である。書籍のような一方通行的な情報で、伝承することは不可能と言うことだ。
私が、一人当たり1日3つのアイデアを批判しメールを返すのには限界があって、沢山の人に伝承するのは不可能だ。なんとか書籍のように一方通行的な情報で、伝承できないか・・・と、考えているのだが、今のところ良い方法はない。
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