マツド・サイエンス研究所

SFのアイデア

先日、酒を飲みながら、ちょっとしたSFのアイデアを考えてみた。

前半くらい迄のプロットを書いてみるので、誰か小説にしてくれないかなあ・・

== ここからプロット ==

ほぼ、我々と同じような世界。

17世紀にガリレオ、ケプラー、ニュートンが天体観測から力学をはじめ科学を作り上げる。

18世紀、ジェームズ・ブラッドリーが光行差を発見するのだが、方向性による微妙な違いがあることに気が付く(この辺から我々の歴史と異なり始める)。

19世紀後半、マイケルソンとモーリーは干渉計を使い、光の速度を測定する。この時、地球の公転速度に依存せず、光速が一定であることを発見する。しかし、公転速度方向とは関係のない方向に光速の微妙なずれも発見する。そのずれはブラッドリーの観測とほぼ一致するも、ごくわずかの時間的変異があることも観測する。

20世紀初頭、アインシュタインはマイケルソン・モーリーの観測からローレンツ変換の考えを経て、特殊相対性理論を構築する。それから10年後、理論を拡大した一般相対性理論を発表。この中で、空間の伸び縮みが伝達する重力波を予言し、ブラッドリーとマイケルソンが観測したずれが重力波の可能性であることも示唆する。

残念ながら第一次世界大戦は起こるのだが、大戦後、ハッブルは遠くの銀河ほど、速い速度で地球から離れていく事いわゆるハッブルの法則を発見する。

この時、同時に天の川銀河とアンドロメダ星雲が衝突しつつあること観測する。

ハッブルの観測は高い精度ではなく、予想の幅が大きかったが、最短の場合、50年で2つの銀河の中心同士が衝突し、その衝撃で地球が滅びる可能性すらあることが判った。

急速に迫りつつあった二番目の世界大戦は回避された。

地球と人類の滅びる可能性は、戦争どころではないことが全人類に伝えられたからである。

世界初の巨大プロジェクトであるペルセウス計画(マンハッタン計画でもアポロ計画でもなく)が始まった(鎖に繋がれたアンドロメダ姫を開放するのはペルセウスしかいないと言う意味)。

ペルセウス計画は(マンハッタン計画=原爆開発でもアポロ計画=月着陸でもなく)、2つの銀河の衝突の正確な時間とその影響を予測し、人類の滅亡を避けることが目的であり、アインシュタインを中心に、オッペンハイマーをリーダーとして、ノイマン、チューリング、ゲーデルを始め、チャンドラセカール、フェルミ、ガモフ、湯川など、連合国・同盟国・資本主義・共産主義の壁を越えて、世界中から最高の知性が集められた。

宇宙空間からの観測は、オーベルト、ゴダード、フォン・ブラウンを中心としたロケット開発班が担当した(平和目的のロケット開発であれば、オーベルトが離脱する理由はない)。 (ツィオルコフスキーは1935年に亡くなったので、残念ながら間に合わなかった) ロケット開発班には、のちにコロリョフや糸川も加わる。

宇宙空間からの観測が早期に行われ、世界中の超A級の知性が(戦争などに無駄遣いされることもなく)集結したため、銀河の衝突のメカニズムの解明は急速にすすむ。(宇宙論やブラックホールなどの科学に関しては数十年先行し、1960年代時点で現在の科学レベルに到達している。逆に原子爆弾・原子力発電など、原子力関係の応用技術分野は遅れている)

1969年7月、ついにペルセウス計画は、銀河の衝突のメカニズムを解き明かした。

・2つの銀河の中心にある巨大ブラックホールは既に衝突している。

・巨大ブラックホールの衝突の結果、太陽の数万倍の質量分が失われ、それがエネルギーとして、重力波・ガンマ線・エックス線・高エネルギー粒子の形で一瞬に放出される(以降、このエネルギー群をフラッシュと呼ぶ)。

・ブラックホールから2万光年ほど離れている地球には、光速で進むフラッシュは未だ届いていない。

・ブラッドリーとマイケルソンが観測した重力波は、衝突以前に渦巻状に互いを回るブラックホールから放射されたものである。

・フラッシュが地球に届くと、その強力なエネルギーのため、海は沸騰し、空気は吹き飛ばされ、ガンマ線とエックス線の放射線により全ての生命が一瞬で滅亡する。

・フラッシュが地球に届くまで、1000年プラスマイナス100年と予想される。

この話の舞台は、実は『我々の地球』ではない。

今から40億年ほど未来、天の川銀河とアンドロメダ星雲が衝突するときに、『我々の地球』と同じように独自進化した星の物語である。

残された時間は、1000年。

彼らは生き残ることができるであろうか??

== ここまでプロット ==

ね。イーガンとかバクスターばりのSFになりそうでしょ

ちなみに、舞台となる世界での科学・技術は、我々に比べ

・1940年までは、ほぼ同じ。

・ブラックホールなどの宇宙論は、1960年時点では50年程度進んでいる。

・逆に原子爆弾・原子力発電など、原子力関係の応用技術分野は大きく遅れている。

・航空機技術も遅れている。1970年でもプロペラが主流で、音速は超えていない。21世紀に入って初めてジェット旅客機が実用化された。

・ロケット・人工衛星などの宇宙技術は進んでいる。

・電子技術は宇宙技術の余波で進んでいる。

・ジェット機が遅れた分、通信技術が進んで、インターネットは、20年早く出現した。

・日本においては、第二次大戦が無かったため、軍は残っている。が、そもそも戦争が激減している。国同士の戦いよりも、ブラックホール衝突での人類滅亡を防ぐことが共通の目標になっているため。

・環境保護の思想は、ほぼない。温暖化は進んでいるが、どうせ先の無い世界だから保護する必要も無いと考える。21世紀になってもハイブリッド車もEVも出現せず、化石燃料を使ったエンジンが主流。

・資源保護の観点もない。残された時間で資源を使い切ることはあり得ないと考えている。

・したがって、粛清や節約の思想もない。資源を使いきろうとするので、物質的には、むしろ贅沢。

・逆に最も価値が高いのは「時間」。残された限りある時間を無駄にすることは、最大の悪と考える。無駄な会議や残業は皆無。

などなど・・・

実は、「じゃあ、1000年で、どうやって滅亡を避けるのか」は、未だ考えていない。

誰か、イーガンとかバクスターばりのSFを書かないか?

滅亡から逃れる方法は、一緒に考えるから・・・・

(なんかあったら、Twitterの @madnoda に)

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