こんな事を言うくらいだから、イギリスでの伝統料理でも、教えてくれるのか?・・・なんて思っていたら大間違いだ!!
まず、イギリスに来て最初に作ったのは、卵焼きだった。それもイギリスに着いた日の夜中1時半にだ。我が子供たちは、飛行機の中でほとんど寝てくれず、最後の方は親の方がクタクタになるくらい、飛行機の通路を歩かせたり、本を読んでやったりしながらの空の旅だった。こちらに着いた頃、ようやく急激に眠くなった二人は、スーパーでの買い物の途中で熟睡してしまったのだ。(日本時間で、夜中の2時とか3時まで、起きていた事になるのだから仕方ない。)
もちろん、夕食は抜きで寝続け、私もクタクタになって熟睡している夜中1時半。私の所に息子がやって来て、「おなかが、へったよぉ〜」と泣くのだ。(勘弁してくれ〜!と思いながら泣かれると、起きずにはいられない。)前日に買ったばかりの卵で、卵焼きをしてパンと牛乳と言う簡単な食事を出すと、余程お腹が減っていたのか、あっという間に食べてしまった。”さて、お腹も膨れたのなら、もう一度寝ようね”と、ベットに入ると、次ぎは娘が起きて来て「お腹が減ったよぉ」(ひょえー、お前もかぁ・・・寝させてぇ〜)とにかく、下の子同様の物を食べさせ、片付いたのは3時過ぎ。娘は、とくに食べるのに時間がかかる為、こんな時間になってしまう。そして、やっと寝たと思う頃、時差ぼけで起きてくる主人がいるのだった・・・。
前置きは、このくらいにして、日本で私が作る料理と言えば、メインの肉か魚・煮物・スープか味噌汁の汁物・サラダかお浸し等の野菜、といった物を毎日色々組み合わせを変え作っていた訳だが、イギリスで日本食を作ろうと思うと作れない事はない。椎茸やえのきだけは、その名の通りで売っているし、大根や白菜まである。常温保存でOKの豆腐まであって、色々作る事は可能。最初、別に日本食が恋しくて作っていた訳ではないが、日本でよく作っていたメニューが机に並んでいた。ただ、味噌汁を作るとインスタント味噌汁よりインスタントっぽい味噌汁の味だったり、なんだか間抜けな味のする肉じゃが等が出来あがり、それに日本食の材料は、とても割高。スペイン産のほうれん草にイタリア産の大根なんて買っていたら〜大変。”主人一人分の出張旅費で、家族全員着いてきた我が家は、もっと考えねば!!”と思い直し、イギリスで売られている材料で作る事にした。
こう思い直すと、椎茸など少ししか入ってなくて高いものを買わなくても、新鮮で美味しいマッシュルームが山積みで売られているし、大根やもやしなんて買わなくても、セロリや人参にジャガイモが、日本よりずっと安く売られている。それらを使って料理をすれば、今まで本の言う通り、スプーンで何杯の砂糖に醤油・・・なんて言う、お手本通りの食事でなく、バリエーションにとんだ物が出来始めた。肉を焼いた上に、クリームソースをかけてみる。クリームの中にはマッシュルームが入ってる日も有れば、玉ねぎやニンニクの日もある。そして、魚を焼いた上に、トマトソースにカレー粉を加え、スパイシーな味にしてみたり・・・と結構やってみると楽しい。結婚後一度も「美味しい」と言ってくれなかった主人が、「美味しい」と言ってくれるだけで、嬉しいねぇ。(まさか、今までの食事はまずかったのか?)付け合わせの野菜は、イギリス風にグリンピースたっぷりなんて日もあるが、これは豆嫌いの娘がいるので、あまり出来ない。
でも、たまには味噌汁が食べたい。こんな時は、日本での味噌汁の作り方を忘れ、これでもか!!と言うくらい野菜を入れ、だしの素と一緒に煮てみよう。そうすると野菜の味が出て来て、美味しくなる。そして極めつけは、あらゆる調味料を入れてみる事。砂糖も醤油もワインも何でもだ!!最後に、2−3種類の味噌を溶かしいれると、味噌汁ならぬ味噌スープが出来あがる。多少不気味そうでも、これがインスタントより格段に美味しいのだ。お試しあれ・・・でも日本に帰って、これを作るか?と言われれば、作らないと思う・・・なぁ。
もう一つ紹介したいのがチーズ。引っ越して来て最初の買い物で、乳製品大好きっ子の子供達の為に、見た事も無いほどのチーズの中から、チェダーチーズを選んでくれた主人の知人。早速次の日、切って食べてみると、日本の物とは全く異なる味で、固まりでかじるのはちょっと・・・喜んで食べた子供たちも、一口かじって「ブゥエ〜不味い。でも、ちょっぴりかじって牛乳で飲み込むと、食べれるよ」と言いながら牛乳で流し込んで食べている。”そんなにしてまで食べなくて良いよ”次の日から主人のお弁当のサンドイッチに、少しずつ入れられる事になったチーズ。このチーズを「お薬チーズ」と名付けた子供たち。
このチーズがある日突然、日の当たる存在になるとは、この時は考えても無かった。ある日トマトソースのパスタを作った私。新しい物好きの主人が、「試しにお薬チーズをおろして、かけてみよう」”そんな不味そうなもの・・・”ところが、食べてみると、なんて美味しいのでしょう!!最初恐々少〜し、かけられていたチーズが、一口食べた途端、たっぷりかけられ、次の日の主人のお弁当のサンドイッチからチーズが消えていたのはナイショ。