我が家が、今の家に越してきた1月23日。私達より先にインベントリーチェックと言う、家の点検をする業者がチェックをしていた。これは、私達が入居する前の家の状況を調べ、家主側が補修すべき場所をチェックし補修してもらう。そして、今度私達がこの家を出る時、再びチェックされ入った時と比べ、備え付けの家具や食器等が破損していたり、汚れていたりすると私達がそれを弁償すると言うものだ。
このインベントリーチェックで、1階のカーベットのクリーニングとキッチンの床の修理。そして、2階の2つあるベットルームの内1部屋のみ、壁の塗り替えをしてもらう事になった。入居して約20日後2月の半ば、一回目のワークマンが訪問。この日は、2階の壁を見て穴が開いていたところを埋め、キッチンの床のマットをはがし、腐った床を見ただけ。一緒に見ていると、本当に腐っていていつ床が落ちるか判らない状態だった。
一週間後の二回目の訪問では、先週のワークマンともう一人女性が一緒。ワークマンは、我が家が家の中で、靴を脱いで生活しているのを先週見ていたからか、部屋のペンキ塗りをする時、靴を履き替えてベッドに上がっていた。先週は、土足でベッドに上がっていて”ヒョエ〜”と思ったが、今回は”ヨシヨシ”と思ったのもつかの間。ワークマンの帰った後のベットの上は、ペンキがあちこちに落ちているのであった。その上ペンキの刷毛をキッチンの流しで洗う・・・。さて、女性の方は、床全体に敷き詰められているカーペットのクリーニング。何やら小型掃除機のようなものに、水を沢山入れ、それが沸騰したところで、蒸気でカーペットの毛を立てているだけのようにも思える。カーペットの上に敷かれていた絨毯にも、この方法を行なっていた。この絨毯の房は、ずず黒くて汚かったので、気になっていただけに奇麗になるのは嬉しかった。だが奇麗にしようとすると、房が切れてなくなっていくらしく、房は片側のみのクリーニングで打ち切られる事になる。”う〜ん?”
2階のペンキは、本当に奇麗に塗れていた。(ところで、台所の床はいつ直してくれるの?この疑問はこの後いつまでも続くのだった。)さて、折角靴を履き替えてくれていたワークマン。外に出る時、どうしようか迷った末、靴を脱ぎ靴下で出て行った。そして、その靴下で家の中を歩いている・・・家の中用の靴を履いて出かけても、同じ事だったのではないか?靴下まで汚さなくても・・・と思って見た私。
それから1ヶ月後の3月26日、三回目。床を直すのに保険が利くがどうかを見る為、保険屋がやって来た。大変おしゃべり好きで、おしゃべりしっぱなし。その上子供連れ。我が家の子供たちは、この保険屋の連れてきた女の子に興味津々。娘は大切に暖炉の上に飾ってあった、おばあちゃん手作りのお雛様の折り紙をあげた。でも、帰りがけに見たこの子の手の中のお雛様は、崩壊していた・・・。それを見て困って、笑う保険屋。お内裏様は保険屋のポケットの中で無事だったけど・・・。そして、更に床を見に来る人は続く。
4月7日、四回目。バシッとスーツ姿が決まっている、格好良いドミニク。もうこの頃には、台所の床はとても危険な状態になっており、子供たちは立ち入り禁止。もともとベコベコして危ない床を、何人もの業者が来ては、「これは、ひどい。危ないから気を付けて。」と言いながら、わざわざ腐った床をはがしたり、踏み抜いたりするものだから、更に危険度が増しているのだ。食事をつくる私は、床が抜け落ちないように梁の部分を踏んで歩く・・・。でも、洗濯機を使う度、床が揺れ、洗濯機が前に傾いて出て来るので恐い。
そして4月22日より一週間の間に、またまた床を見に来る人が行くからよろしくと、大家より手紙が・・・。五回目?もういい加減、切れ始めている私の頭。”見に来るだけで、ちっとも直らないじゃないの!!”それでも、この週一週間外出もせず、家で待っていたのに、とうとう誰も現れなかった・・・。この家に越して来て4ヶ月になろうと言う5月16日と17日で、やっと床は修理される事になる。これまで何人もの人が見に来たが、修理したのは2階のペンキを塗った人だった。それも、あらかた腐った部分の床を、適当に壊しては剥ぎ取り、床下に溜まっている水を吸い取る。吸い取ると言っても、機械などではなく、我が家のキッチン用のスポンジを使っているのだから、いくらやっても埒があかない。(このスポンジ。勝手に使うだけなら、まだ良い。腐ってカビている床の処で使ったものを、また同じ処に返すのは止めて頂戴。見ていないと何をしているか判らない・・・恐るべきワークマン。)
さて、床の話だが、腐ったところ全て取りきれてないけど、まぁまぁのところで、剥ぎ取り作業を終える。そして、剥ぎ取った場所に新しい床板をはめ込み、これ以上水が染み込まないよう油を一面に塗って一日目は終わった。”こんないいかげんな方法で直るのかしら?”と心配になる私達夫婦。だって、見たところ、適当に剥ぎ取られたところに、これも適当に床板が、置かれているだけで、踏むと沈む場所まである・・・。
そして、次の日。私達の心配をよそにどんどん奇麗になっていく。昨夜ワークマンの帰った後、歩いて見て沈んでいた床下には、何枚もの板を打ち込んで、もう沈まなくなっていた。厚さ3センチほどの床板を庭で鋸で切っては、持って入り寸法を合わせていく。何事も適当なので、ぴったり合わないのは当たり前。その度板を外に持って出てまた鋸でゴリゴリ。”凄いパワーだなぁ。あんないい加減なので合せていくんだからねぇ。”と妙なところを感心する私達。そして、パズルのようにツギハギだらけの厚みのある床板の上に、薄い一枚板を張り・・・それらしくなってくる。少し作業をしては必要なものを買い出しに、居なくなるワークマン。またしても居なくなり・・・帰って来たら、一番上に張るナイロンマットを買って来ていた。一枚が30センチ四方くらいの大きさのシートで、シールで貼れるようになっているものだが、相変わらずの適当な方法で貼っていくのに、柄がピッタリ合うように仕上がるのは流石だ。
何日もかかると言われていた修理は、2日で終わった。これで、もう安心と子供たちも台所に入れるようになる。ところが・・・この話にはおまけが付く事になる。床が腐った理由に、水道からの水漏れが原因と判り、後日水道屋ボブが訪問してくる事になる。ボブが来たのは、5月22日の夕方5時半頃。朝9時半に来ると約束してあっただけに、”約束を破られるのは何時もの事。でも、今日も出かけず家に居た私は馬鹿だなぁ”と思いつつ、夕食の支度の最終段階になった頃に現れたボブ。外は雨が降っていると言うのに、玄関のドアの外で靴を脱ぎ、言葉少なに台所へ(もちろん、ボブが家に入った後、彼の靴は家の中に入れた。だって濡れるじゃないの。)とにかく、水道管をいじっていたボブは、いきなり洗濯機にマジックで「この洗濯機を使うな」と(もちろん英語でだが)書いた。え?何時まで?と聞くとボソボソッと「来週の火曜日の朝まで・・・」、”どうしてよぉ〜?”「直す部品を買いに行こうにも、もう店は閉っているし、明日明後日は土・日曜。そして月曜日は、バンクホリデー(祝日)の為休み。火曜日の朝・・・。」”なんだってぇ〜。部品を売ってる店が閉っているのは、
貴方が朝来ないで、今頃来るからでしょうに・・・”と思ったが、この言葉がすべて言える訳でもなし。丸3日間、洗濯が出来ずに居る事になる。
さて、火曜日ボブはやって来たかって?きましたよ、確かにね・・・彼が行った通り「朝(MORNING)」の時間ギリギリ12時過ぎにね。こちらでは、午後1時頃まで(MORNING)と言うのだ。今回も玄関外に靴を脱ぎ、あっと言う間に直して帰って行ったボブ・・・”台所用のタオルを、雑巾代わりに使ったわねぇ・・・
全くもう”この水道屋騒ぎの前に、電話事件と言うのがある。これは、我が家の電話が酷い雑音の為、ほとんど聞こえなくなった事があり、只でさえヒアリングの弱い私が、雑音の為な〜んにも聞き取れなくなった事で、こちらの電話局BTの人に修理に来てもらった日の事だ。それは、5月19日。相変わらず約束の時間は守られず午後1時半頃にやって来たBTの人は、「受話器が壊れているのではない」と家の外に出て行く。何やら色々いじっていたが、「夕方また来る。来なければ、電話をくれ・・・」と言っていなくなった。”ふーん・・・”と思って受話器を手にすると通じていない。”これじゃ、電話してって言っても出来ないね。まっ、夕方までに直るわ”と思っていた夕方、さっきの人とは違う人がやって来た。外で何か修理して、「外は直ったけど、元の処(何処かもっと遠いところらしい)の修理人が、もう帰っていないので、明日の午前中には通じる」と言うのだ。”へ?じぁあ、今日は電話は通じないの?”日本で居ると信じられない事が沢山起こるところだ。電話を通じないままにして、帰ってしまうとは・・・。私は電話が嫌いだからどうでも良いけれど・・・でも、次の日電
話が通じるようになるまでは、ちょっと心配だったのは言うまでもない。
この電話には、おまけが付く。(病院登録の後に来るものは?)に出で来る、保健婦さん訪問の最中、5月21日。「電話を修理に来た」と言うBTの人がやって来たのだ。”確かに、我が家の電話は壊れていたが、丸2日かかって直してもらって、もう大丈夫”と言いたいがそんな英会話力がある訳もなく、この時家にいた通訳の彼女に助けてもらったのだった。”なーんて、ラッキーなの。有り難う”と思ってる私に「たいへんですねぇ」と何度も言う彼女。さて、貴方はこんなイギリスの仕事っぷりをどう思われます?忍耐強く、待つ事が出来る?私は、この人々に一言文句が言えるようになる為に、英会話の勉強に力を入れる事になる。