野田真紀のお気楽・極楽 英国便り

その9 インターネットと、郵便事情 6th August 1998


インターネットメールと、郵便事情

 我が家のホームページを開けて読んでくれている貴方だから、パソコンをお持ちなのでしょうが・・・(そう、私のお気楽極楽・・・を読んで下さってる貴方の事) 私はイギリスにやって来るまで、パソコン等に全く興味がなかった。

 結婚した時から主人はパソコンを持っていたが、パソコンとはどんどん新しく良くなるらしく・・・新しいものを欲しがり、長女出産の為実家に帰る私のどさくさにまぎれて、新しいパソコンを購入。でもやはり年々良くなるパソコンに部品を買い足しては、自分で少しでも使いやすく直している・・・。「新しいものを買うよりは安くついてる」と言いきる主人に、”けど結構高いじゃん。そんなことをして何が楽しいの?”と思いつつも、お酒も煙草も賭け事もしない主人の趣味だし、外に出かけるでもなし・・・と興味もないけど、邪魔する事もせず8年?経ち・・・昨年、渡英が決まると同時に、持ち歩けるノートパソコンを購入。約5年も我慢していただけに、新しいパソコン購入の嬉しそうなことったら・・・。でも、この大切なパソコンも飛行機に乗る際、手荷物に預けてしまうところがよく判らない。”壊れたらどうするの?大切なんでしょうに・・・。”

 そして、いよいよこのパソコンが我が家皆のヒーローになる日がこようとは、考えてもいなかった私。渡英してホテル住まいが始まり約1週間後。主人が仕事を終え帰って来る際、日本からのメールを受け取って持って帰ってきたのだ。日本を離れて一週間くらいだから、子供達と見知らぬ通りを散歩するのが日課くらいで、寂しかった私は、時差があるとは言えその日にあった事を、インターネットでその日のうちに知ることが出来る事が嬉しくて・・・毎晩毎晩(昼は、主人が仕事でパソコンを使う為、夜しか使えない)、夕食後片付けを手早く済ませメール書きに専念することになった。

 もともと、とてもおしゃべり好きで、私の実家では”人間ラジオ”と命名される程おしゃべり好きの私が、おしゃべりの代わりにおしゃべりしてると同じように、皆にメールするのは自然の事。だって、日中子供達相手に喋り続ける訳にもいかず、私よりも更におしゃべりな娘や主人。英語も話せないのに、知らないイギリス人を捕まえて、日本語で話し続ける訳にもいかないし?ストレスがたまるじゃない?だから、私からメールを受け取った人達は、『メールを読むのにかなりの時間がかかる・・・』と言われても気にせず、一方的に毎日起こったこと・・・天気のこと、買い物したこと、食事作りの成功や失敗の事まで、たっぷり送り続けたのだ。(メールたまごっち状態と言うらしいが、ゲームのたまごっちは、2度育てただけで、あきてしまった私。だが、メールはあきる事を知らない。メールにはまってしまった私・・・。)

 これに対し返事がなくてもお構いなし。とにかく、きっと日本で心配している両親を安心させると共に、私のストレス発散の為メールし続けた。主人の両親も妹一家もパソコンを持っており、出来る限り返事をしてくれていた・・・。けど、私の両親はパソコンを持っていない。かと言って、電話する訳にもいかない。(1ヶ月半も住んでいたホテルの部屋に電話はなかった)・・・主人の妹が、毎日私のメールをプリントアウトし、ファクスで私の実家に送り続けてくれて数ヶ月後。私のメールの膨大な量を、毎日送って貰い続けるのに申し訳なくなったらしく、NTT主催のインターネット講座に参加し始めたと父からメールがあり、続いて母からもメールが・・・そして、あれよあれよと言ってる間にパソコンを買ってしまった両親には、本当に驚かされた。そして、父が先に勉強していたはずなのに、母からしかメールが来ない。『決まりきった手順を崩されたら、使えなくなる。』と、触らせてもらえない父。

こうして、直接どの家族ともメールのやり取りが出来る様になった。(後日談・・・私の母は、私の膨大な量の毎日のメールを見て、『娘は頭がおかしくなったに違いない。』と思っていたらしい。) この私の両親、滅多にメールを開けて見てないらしく、最初の内こそ返事もあったが、今では音沙汰なし。”おーい、生きてるぅ?”考えてみるに、今までこれほど、色々なことを話す?事があっただろうか・・・。特に主人の両親や兄弟にまで、毎日毎日我が家の出来事を話し続けているのだから、日記を公開しているようなものかも・・・。この他にも、私はとても大好きな従兄弟と膨大な量のメールのやり取りをしており、彼女との間にナイショ事は全くない。

 それに加え、日本の友人達からポツリポツリとメールが舞い込み、喜んで返事を書く私は、夕食後毎日1〜2時間は、パソコンにむかって一人一人にメールし、「おかあさん、そろそろお風呂にしませんか?」の主人のタイムリミットの声を聞くまで、書き続けるのだった。こうなると、主人はパソコンがあって良かったと思っているかどうか・・・だって、私がメールしている間、子供達の攻撃を一人で請け負い、メールのし過ぎで、もともと肩凝りの私の肩をマッサージしなければならないと言う仕事が増え、自分も使いたいのに私がパソコンから離れないのだから・・・。とにかく、今ではパソコンなしでは、とてもやっていけない私。毎日皆に送ったメールの返事を楽しみに、今晩も書き続けるのだった。

 さて、このようにインターネットで今日起こった事をあっと言う間に伝える事を知った私だが、手書きの手紙も良く書く。この国の郵便は本当にしっかりしており、毎朝7時半きっかりにポストマンが、さっそうと自転車をこぎ、手紙を届に来てくれる。イギリスの道路は行き止まりのところが多いからか、自転車で走っているポストマンが多い。時には、大通りに車を止め、ロイヤルメイルのワゴンから自転車を、出して来て走り去るポストマンも見かけたりするのだから、笑える。

 だいたい4日あれば、日本から我が家に手紙が届く。正直言って、私はパソコンのキーを打つよりも手書きはとても疲れる。メールするのと同様に手紙を書くのだから、一人平均4〜5枚。小さい、へんな癖字でぎっしり書くのだから、メールを受け取るのでなくこの手紙を受け取る友達は、さぞ読み辛いことだろうと思う。でも何故、手書きの方が返事を大きく期待してしまうのだろう?何日に出したから何日には、日本に着いているはず・・・じゃ、すぐ返事を書いたら?それとも10日ほっといて返事を書いて、それから送ると?・・・何日には返事が来るかしら?と妙な計算をしながらカレンダーを眺め、その日に返事が届かず、それ以降も何日も手紙が届かない時ほど、がっかりする事はない。

 インターネットのメールの場合、半ば無理矢理送り付けているのが自分でも分かっているので、返事が来なくても、ちょっぴりがっかりするだけで、”また明日があるさ”の感じがある。 後々読み返すのは、郵便で送られてくる手紙。すぐに返事が届きこちらのも届けられ、肩が凝りにくいのはメール。どちらもそれぞれに良い所が沢山ある。

 でも、これほどパソコンくんに頼っている我が家・・・このパソコンが壊れてしまったらどうしよう?昨年渡英してすぐ、まだ2歳だった息子が『パソコン爆発』と題したグジャグシャの絵を描いた日に、パソコンが壊れ「お前が、こんな物を書くからだぁ〜!」と大騒ぎしたのを思い出した・・・。どうして、あんな絵を息子が書いたか、今だに不思議・・・。今やパソコンくんは非常に便利で、大切なもの。

 だけど・・・イギリスの電話は信用ならない。現に先週土曜日から電話が不通の我が家。この付近一帯そうらしいが・・・電話局の修理人が訪問してきたのは、文句を言い続けて3日目。そして、直ったかって?いいえ!!前回の電話修理の際のことはすっかり忘れ、修理人が来れば、直るものと信じていた私は、まだまだ甘かった・・・。だって、電話局の言い分は「ケーブルの元の部分が壊れているので、新しいのに変わるまで不通のままだろう。金曜日までにはどうにかしたい。」と言って帰っていったのだ。

 ”このまま、更に何日も不通なのぉ?冗談でしょう?”と一瞬思った私。いやいや、私の苦手な電話が不通って言う事は、変な電話はかかってこない。ラッキー!!でも、メールはつながらない。そう、日本では考えられない、1週間もの電話の不通。何が困るって、メール。メールの思いもよらない、落とし穴・・・。

 こう考えると、郵便は偉いよなぁ・・・確実だもの。 結局、電話は「金曜の午後1時には、繋がる」と言ったBT(電話局)の人の言葉に裏切られ、更に3日過ぎた夕方、何の前ぶれもなしに、繋がる事になる。あ〜BTよ、もっと頑張って頂戴〜。10日も電話が不通の処なんて、滅多にないよぉ。


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