マツド・サイエンティスト研究所

番外報告13 ロボコン@Home the 26th of March 2000


アット・ホームなロボコン

 私には二人の子供がいる。上は四月から小学校二年生の娘で、下は幼稚園の年長組になる息子である。いわゆる一姫二太郎である。
 さて、この二人、私に似たのか、物作りが好きである。息子の方は、テクノロジー大好き坊やに育ってしまった。そして、数あるテクノロジーの中でも、特にロボットが大好きなのである。

 ロボット好きと言っても、TVに良く出てくる巨大合体アニメものや戦隊物のロボットではない。ロボコン系統のロボットが好きなのだ。
 ロボコンと言っても、つい先日までリメイクされたテレビ番組ではない。(しつこい)
 同じ、テレビ番組でもNHKで全国大会などを放映している、あのロボコンである。

 私の息子の場合、日本のロボコンのテレビ放映を見て、この種のロボットが好きになったわけではない。二年ほど前、英国に住んでいた頃、ロボット・ウォーズと言う相手を戦闘不能になるまで戦うと言う日本のロボコンからは想像も付かないほど過激なロボット同士の戦いの番組を見てから、好きになったのである。(この種の番組は、最近、XXXで紹介されたり、ほとんど同様なルールの戦いが、先日「ロボット・コロシアム」と言う番組で取り上げられたので、日本でも存在が知られるようになって来ている。)

 帰国後も、息子は当然のごとく、日本のロボコンが好きになり、昨年11月に両国の国技館で行われたロボコン高専部門全国大会を見に行ったくらいである。

 さて、息子は、実際にロボコン大会を目にすると自分でも作りたくなってきたようだ。それは私とて同じ事。だが、あんな大きなロボットを家庭で動かす事など到底不可能・・・と思っていたが、よく考えれば、家庭内なら家庭内なりに工夫をすれば、ロボコンをやることだって可能かもしれない。

 よし、それなら、名付けてロボコン@Home。これに挑戦してみよう。

実際に作ったロボット達

 と言うわけで、早くも何台かのロボットを作ってしまったのであった。

アボイダー・バグ

 最初に作ったロボットである。
 作ったと言っても、キットで販売している物を組み立てただけだ。
 また、半田付けを子供達にさせるわけにも行かないので、ほとんど私がやった。(と言いつつ、何ヶ所かは子供達にも半田付けさせてみた。小学校1年生や幼稚園児に無茶をさせる親父!)
 物作りは好きでもテクノロジー系は苦手な娘も製作に協力してくれた。抵抗のカラーコードを読ませ続けていたら、最後は嫌になったらしい。

 キットをストレートに作ったものであるから、創造性はない。せいぜい、目とか口を書き込んだ程度である。

 但し、キット自体は良くできていて、赤外線センサーで障害物を見つけ、回避する。一応、自律制御になっているロボットだ。

ゴー 1号

 100円ショップで買ってきたゴミ箱を改造して作ったロボット。元がゴミ箱だから「ゴー 1号」と言う安直なネーミングは息子による。
 田宮のギヤボックスとリモコンを使って、自由にコントロールできる。
 キャスターの取り付け位置が悪く、重心と近すぎるために、動作が安定しないが、かえって面白い動きをする。

 リモコンで自由にコントロールできると言っても、移動だけで腕とかは無い。が、ロボコンのロボットだって、基本的には同じような物で、適当にルールを考えれば良いかなあと思っていた。例えば、制限時間内にピンポン玉を集める様にである。

 だが、この「ゴー 1号」、製作中こそ、子どもたちの人気を集めたが、実際に動かす段になると、それほどではない。

子どもたち曰く、
「ロボットは、リモコンとかラジコンで人間がコントロールしてはいけない。自分で動かないと・・・」

 それは正に自律型ロボットの定義そのものではないか。
 いったい、どうなっているのだろう??

ゴー 2号

 23ミリ四方と言う超小型のロボット。何と自律型ロボットだ。
 世界最小の自律型ロボットかもしれない。(<=大袈裟)

 歯ブラシの頭を2個並べて、その上に携帯電話のバイブレーション用の振動モーターとボタン電池、スイッチを付けただけの物だ。

 スイッチを入れると、モーターが振動し、歯ブラシを動かして、床の上を動き回る。時として、回転することもある。

 さて、なんで、こんな簡単な物を自律型ロボットなどと大袈裟に呼ぶのかと言うと、ちゃんとわけがあるのだ。

 このロボット、元々、迷路抜けを目的に作った。
 ただ、この状態では適当に動くだけの先行試作であり、いずれはセンサーを付けて、もう一つ振動モーターをつけて方向性をコントロールすれば、自律型の迷路抜けロボットになる・・・・とか考えていたのだ、私は。
 ところが、何にもゴー 2号にセンサーも付けない内に迷路抜けをやってしまったのである。それも,子どもたちだけで・・だ。
 それが右の写真だ。

 私が留守にしている間、子供達は暇を持て余し、積み木で作った迷路の中をゴー 2号を走らせている時に、迷路抜けする事に気が付いたらしい。

 迷路抜けの様子を観察すると、ゴー 2号には製造精度によるアンバランスがあり(当たり前だ)、右とか左とか片寄って進む。そこで、壁に突き当たると、ロボット本体やスイッチを支えるリード線が触覚代わりとなって、壁伝いに進むのである。いわゆる左手法とかで、見事に迷路を抜けるのである。

 もちろん、上手く行かない時も多いが、それはそれで見ていて面白い。時々、伝うべき壁から離れて、きりきり舞いする姿も可愛い物である。

 大人が考えると、やれセンサーが必要だの、アクチュエーターだの、判断のためのアルゴリズムだとか、理屈をこねてしまう。
 だが、結局なにも知らない子供たちは勝手に理論も実践も実行してしまったのである。

 ゴー 2号は、今や我が家の人気者になってしまったのである。

そして、今後

 今後・・と言っても、詳しく考えているわけでは無い。が、既にゴー 2号を強力にしたようなゴー 3号は作り始めている。
 また、ゴー 2号級の小型ロボットで、対戦型の卓上ロボコンも面白いだろう。
 例えば、ビー玉とかBB弾を拾い集め、数を競うのである。もちろん、相撲やレスリングも面白い。

 最近、秋葉原に行くたびに超小型のギア付きモーターとか、DCモーターコントロール用のブリッジICとかを買ってきてしまう。
 超小型のワンチップ・コンピュータであるPICも遂に買ってしまった。娘や息子にアセンブリ言語でのプログラミングを教えて、ロボットのプログラムを作らせるか??

 もちろん、それで処理能力が足りなかった場合には、私にはFoxと言う奥の手すらあるのだ・・・・

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